ASUSが2024年12月6日に発売したVivoWatch 5 AEROの新色ブラックは、脈波伝播時間まで測れる26gの健康トラッカーです。結論から言うと、このブラックモデル単体の評判や口コミは、2026年現在でもまだ十分に蓄積されていません。価格.comのレビュー欄も空欄に近い状態で、購入の決め手を他人の感想から探すのは難しい製品です。この記事では、スペックと機能、そして数少ない実機レビューの内容から、購入判断に使える情報を整理します。
VivoWatch 5 AERO BLACKは口コミゼロに近い状態で発売から1年
VivoWatch 5 AEROは、もともと2023年11月10日にホワイトカラーで発売されたモデルです。そこから約1年後の2024年12月6日、ASUS JAPANが新色としてブラックを追加しました。プレスリリースの見出しは「リアルタイムで健康状態、睡眠の質、運動データをモニターし、コンパクトで軽量、長時間稼働可能なウェアラブルヘルストラッカー『ASUS VivoWatch 5 AERO』の黒色を発表」というもので、PC Watchやxexeqといったメディアも発売時にニュースとして取り上げました。
ただ、ニュース記事が出たことと、実際に使った人の感想が集まることは別の話です。価格.comのVivoWatch 5 AERO HC-C05(ホワイト)のページを確認すると、満足度レビューもクチコミも登録数はゼロでした。ブラックモデルについても、専用の詳細レビュー記事はまだ多くありません。ハードウェア自体はホワイトと共通なので機能面の評価は流用できますが、色そのものへの感想を探している場合は、現状では情報が足りないと考えたほうがよさそうです。

本体は26g、医療機器グレードのセンサーをステンレスケースに収める
VivoWatch 5 AEROの型番はHC-C05で、本体サイズはベルトを含めて19.16×13.2×47.4mm、重量は約26gです。数字だけだとピンと来ないかもしれませんが、一般的な腕時計よりもかなり軽く、24時間つけっぱなしにしても腕への負担が少ない設計になっています。
ディスプレイは0.96インチのパッシブマトリクスOLEDで、タッチ操作に対応した反射型カラーLCDを組み合わせています。屋外の明るい場所でも視認性を保ちながら消費電力を抑える狙いです。画面保護にはコーニングのゴリラガラス3 DX+、ベゼルにはジルコニアセラミック、ケースにはステンレススチール316Lを採用しており、価格帯を考えると素材への投資は惜しんでいません。防水性能は5ATMで、洗顔や水泳程度なら気にせず装着できます。
センサー構成はECG(心電)センサー、PPG(光電容積脈波)センサー、Pulse O2センサー、Gセンサー、GPSセンサーの5種類です。ECGとPPGは医療機器グレードとされており、このクラスの価格帯のウェアラブルとしては珍しい組み合わせです。バッテリー容量は140mAhで、充電はUSBケーブルで行います。
ケース素材のステンレススチール316Lは、いわゆるサージカルステンレスと呼ばれる種類で、医療用のメスやピアッシング器具など人体に直接触れる製品にも採用されている素材です。腐食しにくく金属アレルギーを起こしにくいとされ、水や汗にも強いので日常使いでの扱いやすさにもつながっています。24時間肌に触れ続けるヘルストラッカーの素材として選ばれているのは理にかなっていると言えます。
画面保護のゴリラガラスは、化学強化と呼ばれる処理によって、あらかじめ割れようとする力を打ち消すバリアをガラスの表面に作り込んだ素材です。一般的なガラスと比べて傷や衝撃への耐性が高く、常に身につけるウェアラブル製品では、うっかりぶつけて傷がついたという不満が出やすいため、ひっかき傷がつきにくい仕様が特に重視される傾向にあります。VivoWatch 5 AEROが採用するゴリラガラス3 DX+も、この方向性に沿った素材選びだと考えられます。
脈波伝播時間(PTT)測定は他社製品にあまりない機能
VivoWatch 5 AEROの一番の特徴は、脈波伝播時間(PTT:Pulse Transit Time)をリアルタイムで測れることです。これは心臓が血液を送り出してから、その脈波が体の別の部位に届くまでの時間を計測する技術で、血圧の変動傾向をつかむ指標として使われます。ASUSはこの機能を、リストバンドタイプの製品としては世界初と位置づけて訴求しています。

使い方はシンプルで、センサーに指を置くだけで脈波伝播時間指数、心拍数、血中酸素レベル(SpO2)、ストレスの度合いをまとめて測定できます。血中酸素飽和度はPulse O2センサーが担当し、体調管理や高地でのコンディション確認に使えます。心拍変動のデータからストレスの蓄積具合を数値化する機能も備えており、日々の体調の波を可視化する材料になります。
血中酸素飽和度は、血液中のヘモグロビンが酸素とどれだけ結びついているかを示す値で、健康な状態ではおおむね95%から100%の範囲に収まるとされています。登山などで標高が上がると数値が下がりやすく、92%を下回ると高山病のリスクが高まるとも言われているため、屋外での運動記録機能とあわせて使えば、行動中の体調変化に気づく材料になります。ただし光学式のセンサーは手首の動きや装着の緩みで数値がぶれやすく、医療用の測定機器ほどの精度は期待できない点は理解しておいたほうがよさそうです。
脈波伝播時間を使った血圧関連指標の推定は、VivoWatch 5 AEROだけの技術ではなく、ウェアラブル業界全体で研究が進んでいる分野です。心臓から送り出された血液の脈波が体の別の部位に届くまでの時間から血管の硬さを推定し、そこから血圧の傾向を割り出すという考え方が土台になっています。多くのスマートウォッチでは、電気信号による心拍測定と、光学センサーによる血流測定を組み合わせて指標を算出する方式が一般的で、腕時計型のデバイスでも1拍ごとの連続測定を目指した技術開発が国内外で進められています。VivoWatch 5 AEROはこうした流れの中で、リストバンドタイプとしては早い段階で実用化にこぎつけた製品という位置づけになります。
これらはあくまで日常的な傾向把握のための機能で、医療機器としての診断行為ではありません。数値が気になる変化を示した場合は、自己判断で済ませず医療機関を受診する前提で使うのが安全な付き合い方です。
睡眠はいびきパターンまで記録、運動は9モードに対応
睡眠モニタリング機能では、睡眠時間や睡眠段階(レム睡眠・ノンレム睡眠など)に加えて、いびきパターンや就寝中の体動まで測定・分析します。「なんとなく眠りが浅い気がする」という感覚を、数値やグラフで裏づけられるのがこの手のデバイスの価値です。
運動面では9種類のスポーツモードに対応し、ウォーキングやランニングといった日常的な運動から、内蔵GPSを使った屋外でのアクティビティまで幅広くカバーします。装着している間は24時間体制でデータを収集し続けるため、単発の測定ではなく、生活リズム全体の変化を追いかけられる点が活動量計としての強みです。
睡眠の記録機能が重視される背景には、日本人の睡眠時間の短さがあります。OECDの調査では日本の平均睡眠時間は加盟国の中でも短い部類に入るとされ、睡眠不足による経済損失は年間で数兆円規模にのぼるという試算も出ています。こうした事情もあって、ウェアラブル型の睡眠トラッカー市場は年率15%前後の成長が続いており、心拍数や睡眠パターンを日常的に記録できるデバイスへの関心は今後も高まると見られています。VivoWatch 5 AEROの睡眠モニタリング機能は、この流れの中で意味を持つ機能のひとつだと言えます。
ASUS HealthConnectアプリで家族や医師とデータを共有できる
VivoWatch 5 AEROは、専用アプリ「ASUS HealthConnect」とペアリングして使います。初期設定はアプリ側で言語と地域を選び、ASUSアカウントにログインしたうえで画面の案内に従うだけなので、特別な知識は必要ありません。
アプリ上では心拍数、血圧関連の指標、睡眠データ、運動記録を一元管理できるほか、自動バックアップでクラウドへのアップロードとデータ共有ができます。具体的には、ECGの測定結果をPDFとして書き出して通院時に医師へ見せる、血圧や心拍数、生理周期、服薬のタイミングをまとめて管理する、家族や医師とウェルネスデータを共有する、といった使い方が用意されています。「ASUS Healthy Group」という機能を使えば、離れて暮らす家族の健康状態を見守る目的でも活用できます。単体のガジェットというより、家族ぐるみの健康管理ツールとして設計されている印象です。
対応機種はAndroid4.4以降・iOS11.0以降、古い端末は要確認
VivoWatch 5 AERO本体はBluetooth4.2以降に対応したスマートフォンとペアリングします。対応OSはAndroidが4.4以降、iOSが11.0以降で、iPhoneだけでなく一部のiPadやiPod Touchでも使えるとされています。
ただし専用アプリ「ASUS HealthConnect」自体の推奨環境はAndroid8.0以上、iOS11.0以上とされており、本体側の対応バージョンより一段厳しめです。かなり古いスマートフォンを使い続けている場合は、購入前に自分の端末がアプリの推奨環境を満たしているか確認しておいたほうが無難です。
通知機能については、ホーム画面を下にスワイプすると直近の着信履歴やメッセージ通知を確認できます。服薬リマインダーや、長時間座り続けたときに体を動かすよう促す通知も備えており、スマートフォンの通知をすべて詳細表示するタイプの多機能スマートウォッチではありませんが、健康習慣をサポートする通知としては必要十分な内容です。
心電図機能はTFDA認証を取得、確定診断は医療機関で
ECG機能については、台湾の食品薬物管理局(TFDA)による医療機器認証を取得しているとされており、Lead1(単極誘導)方式で心電図の波形を表示できます。本体にはECG測定用の微小電極センサーとPPG測定用の光学センサーが両方内蔵されています。
この心電図機能は、心房細動(AFib)や洞調律といったリズムの違いに気づくきっかけとして使えるとされています。測定したデータはHealthConnectアプリを通じてPDF化でき、気になる波形が出た場合に医師へ見せる資料として使えます。ここで注意したいのは、この機能が診断そのものではないという点です。あくまで日常のスクリーニングであり、確定的な判断は医療機関での検査に委ねる前提で使うべき機能だと考えます。
心房細動は代表的な不整脈のひとつで、自覚症状がないまま進行し、脳卒中のリスクを高める場合があるとされています。心電図機能を搭載したスマートウォッチを装着していた人では、医師が心房細動に気づく頻度が上がったという報告もあり、症状が出る前の段階で変化のサインをつかむ手段として、ウェアラブル端末の心電図機能に関心が集まっています。VivoWatch 5 AEROのECG機能も、この文脈で捉えると、日々の小さな変化に気づくきっかけとして意味を持つ機能だと言えます。
バッテリーは通常3日、価格は2万3千円台からが目安
バッテリー容量は140mAhで、通常使用なら約3日、省電力モードでは7日から8日程度もつとされています。常時カラー液晶を表示するタイプのスマートウォッチと比べれば健闘している数字ですが、10日以上もつ活動量計と並べると短めに感じる人もいるはずです。GPSの使用頻度や画面点灯の回数によって実際の稼働日数は変わるので、この数字はあくまで目安として捉えておくのがよさそうです。

価格については、市場想定売価(税込)が23,220円とされています。価格.comでの実勢価格もおおむねこの水準で、2024年6月27日時点の最安値は25,800円という記録もありました。Amazon.co.jpでは発売当初25,824円前後で販売されていた時期もあり、楽天市場やヨドバシ.comでも取り扱いがあります。ブラックモデルもホワイトと同水準の価格帯で展開されているとみられますが、キャンペーンの有無で実売価格は変わるため、購入前に複数のサイトを見比べる価値はあります。
海外レビューでは高度計と体表温度の精度に課題ありと指摘
海外のガジェットレビューサイトDigital Citizenが行った実機レビューでは、ベルトを除いた本体だけの重量が約15gしかないことに驚いたという感想が紹介されています。ECGと血圧関連の指標を測れるバイタルモニタリング性能、通常3日・省電力7日というバッテリー持続時間、睡眠の質やいびきパターンを含む幅広い記録項目についても評価は高めです。
一方で弱点もはっきり書かれていました。ECGと血圧測定機能は、ASUSが医療機器認証を取得している一部の地域でしか使えず、どこでも同じように利用できるわけではありません。アプリ側のスポーツトラッキング機能やカスタマイズ項目は競合製品より少なく、高度計と体表温度の測定精度についてはやや不正確という評価も出ています。この内容は海外向けモデルを対象にしたレビューなので、日本向けのAERO BLACKと仕様や対応認証が完全に一致するとは限りませんが、軽さと計測項目の広さが強みで、ソフトウェアの作り込みと一部センサーの精度に課題が残るという傾向は参考になります。
ASUSはウェアラブル健康事業を長期戦略として育てている
ASUSは台湾に本社を置くメーカーで、パソコンやスマートフォンだけでなくヘルスケア向けウェアラブル機器にも継続的に力を入れてきました。VivoWatchシリーズはその中核を担う製品ラインで、体の状態を継続的に読み取る仕組みそのものを事業の柱に据える方向性を示しています。AERO BLACKも、こうした長期的な取り組みの延長線上に位置する製品のひとつだと捉えられます。
VivoWatch 5 AERO BLACKが向いているのは通知より数値を見たい人
ここまでの内容を踏まえると、VivoWatch 5 AERO BLACKが向いているのは、スマートウォッチの多機能さよりも血圧関連の傾向や睡眠の質といった数値を継続的に追いたい人です。Apple WatchやGalaxy Watchのような決済や音声アシスタント連携を求める人には物足りなく、あくまで健康管理に特化したデバイスとして選ぶべき製品だと考えます。
逆に、購入前に他人のレビューを大量に読み比べてから決めたいタイプの人には、現時点ではあまり向いていません。ブラックモデル単体の口コミがまだ少なく、星評価のような定量的な指標で比較する材料も限られているからです。判断材料が欲しい場合は、無印のVivoWatch 5シリーズに関する既存メディアのレビューや、公式サイトのスペック情報を組み合わせて検討するのが現実的な進め方になります。
こうしたヘルストラッカーは、装着して終わりではなく続けてこそ意味を持つ機器です。数ヶ月分のデータをためておけば、通院時に医師へ状況を説明する材料になり、限られた診察時間でもやり取りがスムーズになります。一方で、常に数値が流れ込んでくることに気疲れしてしまう人もいるようなので、最初から全項目を細かく追いかけようとせず、睡眠なら睡眠、血圧関連の指標なら指標と、自分が気にしたいテーマを絞って使い始めるほうが長続きしやすいと思います。
個人が趣味で使うガジェットとしてだけでなく、企業の健康経営の文脈でもウェアラブル端末の活用は広がっています。心拍数や睡眠の質、活動量をリアルタイムで把握できる仕組みは従業員の健康リスクを早期に見つける目的でも使われ始めており、国内外の企業が活動量計をまとめて導入した事例も出てきました。VivoWatch 5 AEROのように血圧関連の指標まで扱える機種は、こうした流れの中でも個人向けの選択肢として存在感を持ちうる製品だと考えます。
VivoWatch 5 AERO BLACKの評判については、今後ブラックモデルの流通が進むにつれて、実際に使った人の声が増えていくはずです。購入を急いでいないのであれば、しばらく様子を見てから判断するという選択肢も十分にありだと思います。








