AT2020USB-Xに集まった評価は、音のよさと作りのしっかりした点を認める声が中心です。不満として何度も出てくるのは、感度が高いために部屋の雑音や机の振動まで拾ってしまうことでした。静かな部屋でひとりの声を録る使い方なら、手ごろな入門機として国内外のレビューが勧めているマイクです。
オーディオテクニカのAT2020USB-Xは、人気だったAT2020USB+の後を継ぐモデルとして2022年に登場しました。専門メディアの試聴、価格.comの満足度、海外サイトの長所と短所をつき合わせると、買って満足しやすい人と、追加の機材が要る人の線引きはかなりはっきりしています。タイピングしながら配信する人や騒がしい部屋で使う人は、ショックマウントや上位モデルまで含めて選ぶことになります。
AT2020USB-Xの口コミは音質のよい入門機という評価でほぼ一致

国内でも海外でも、AT2020USB-Xを高く評価するレビューが多数派です。褒められているのは主に音質と作りで、タッチ式の操作部を長所に数えるレビューもあります。
PHILE WEBとサウンドハウスの評価
PHILE WEBは2022年9月5日にレビューを公開し、つないですぐ使えることや、ドライバーを入れる手間が基本的にかからないことを紹介しました。結論は、ワンランク上の音を試してみたい人向けの入門機として推す、というものです。同じPHILE WEBでは評論家の高橋敦氏も収音の感想を寄せています。編集部員が自分で録ってみた感想も載っていて、録れた音は期待を上回る品質で、低価格のマイクによくあるこもりが感じられなかったと書いています。
サウンドハウスは、AT2020USB+からの変更点を前向きに受け止めたうえで、本体に入っているヘッドホンアンプの再生音にも良い点をつけていました。ギズモード・ジャパンは、ミキサー調整ダイヤルでマイクとパソコン側の音の比率を変えられ、ヘッドホン調整ダイヤルで聞こえる大きさを変えられる点を取り上げています。販売店の紹介記事も、配信や宅録を手軽に始めるためのUSBコンデンサーマイクとしてすすめていました。
価格.comの満足度は4.48、ただしレビューは4件
価格.comに投稿されたレビューを集計した満足度は4.48でした。カテゴリ平均の4.18を上回ってはいますが、もとになったレビューは4件しかありません。目安程度に見ておくのが妥当な数字です。
海外の通販サイトには日本語で書かれたレビューもあり、タッチ式のミュートが配信中にすぐ反応して助かるという感想が載っています。
海外レビューではBlue Yetiより音がよいとの評価も
TechRadarは、AT2020USB-Xを出来のよいUSBマイクと評価しました。長所に挙げたのは音質とタッチ式の操作です。買ったままの設定でも、レビュアーが長年手元に置いていたBlue YetiやBlue Snowballと比べて、はっきりよい音だと書いています。
Equipboardがまとめた評価では、口から2〜3フィート、約60〜90cm離れて話しても澄んだ音で録れると紹介しています。SoundGuysが評価したのは作りのよさとUSB-C接続、それに付属のデスクスタンドでした。
海外のレビューに共通するのは、声の録音や配信に使える手ごろなマイクで、反響を抑えた部屋でいちばん実力が出る、という見方です。
不満の口コミは感度の高さと振動ノイズに集中

マイナス評価のほとんどは、拾わなくていい音まで拾ってしまう点に関係しています。中身は、感度、振動、調整機能の少なさの3種類に分かれます。
感度が高いのはコンデンサー型だから
SoundGuysは、AT2020USB-Xの感度の高さを「諸刃の剣」と表現しました。静かなスタジオでは長所になる一方、騒がしい部屋では不利に働くという意味です。PHILE WEBも、エアコンなどを動かしているとその音まで入ってしまうと書いています。
この性格はコンデンサーマイクという方式から来ています。コンデンサーマイクは、ダイアフラムと帯電したプレートのあいだの距離が変わるのを電気信号にする仕組みです。感度はダイナミックマイクを上回り、小さな音の細部まで捉えやすく、マイク自身が出す雑音も少なめです。そのぶん背景の音も入りやすく、響きの多い部屋やうるさい場所は得意ではありません。衝撃や湿度、温度の変化にも敏感です。対してダイナミックマイクのほうは、コイルが磁界の中を動くだけの単純な構造で、丈夫さが持ち味です。ライブのような場面にも向いています。
PHILE WEBが示した対策は、口とマイクの距離を詰めることでした。正面の音をよく拾う単一指向性という特性を活かした使い方です。
机に直置きすると振動を拾う
付属スタンドで机に置いたまま使うと、机から伝わる振動がノイズとして入る、という声がいくつも出ています。海外通販サイトの日本語レビュー、サウンドハウス、AudioTechnologyの3者がそろって同じ点に触れました。AudioTechnologyは、デスクスタンドそのものが振動を伝えやすいと指摘しています。
困るのはキーボードを打ちながら話す人です。サウンドハウスは、打鍵音のような振動ノイズはAT8455(別売りのショックマウント)を取り付ければ弱められるとして、タイピングをしながら配信や会議をする人には買い足しを勧めています。
スタンドについては、USB-Cポートの位置のせいで使いにくいというユーザーの書き込みもありました。PHILE WEBは別の角度からスタンドに触れていて、机に置くと口とマイクの距離が離れがちになると書いています。音質を優先するならブームアームやクランプ式のスタンドを考えるように、というのが同サイトの助言です。
ゲインつまみとノイズ低減がなく、指向性も固定
TechRadarが短所に入れたのが、ゲインを調整するダイヤルがないことです。ゲインは、マイクが拾った音を入力の段階でどれだけ増幅するかの設定です。別名はマイクゲインやプリアンプゲインで、再生するときの音量とは違う値を指します。低すぎると声が小さく録れ、あとから持ち上げるとノイズも一緒に大きくなります。上げすぎると音割れ(クリッピング)を起こしやすくなります。ふだんの声で入力メーターが緑から黄色に収まるくらいが目安で、赤まで振り切れる状態は避けます。AT2020USB-Xの場合、この調整はパソコンのサウンド設定で行い、EquipboardはWindowsの設定から変える方法を紹介しています。
海外のレビューは、本体にノイズ低減の機能がないことも短所に入れています。
指向性はカーディオイドの1種類だけで、切り替えはできません。カーディオイド(単一指向性)は、マイクの正面の音を最もよく拾い、後ろからの音を抑える収音パターンです。感度の分布を図にするとハートのような形になるため、この名前がついています。マイクとしてはもっとも広く使われている型で、横や後ろの音が入りにくいぶん、声以外の音を拾いにくくなります。ただし中心の軸から外れると、低音の出方や音の忠実さが落ちます。
TechRadarも、Blue製品と違って収音パターンを選べないことに触れたうえで、ひとりの話し手を正面から録る使い方に合うマイクだと位置づけました。オーディオテクニカ自身も、ゲーム実況や動画の配信と制作、ナレーションの収録、宅録、ストリーミングに向けて作った製品だと説明しています。ひとりで話す配信や実況なら単一指向性が合いやすく、何人かでマイクを囲んで録るなら、収音パターンを切り替えられるマイクを選ぶほうが合っています。
AT2020USB-Xの仕様は最大24bit/96kHzのUSB接続
オーディオテクニカが出しているAT2020USB-Xは、カーディオイド型のコンデンサーUSBマイクロホンという分類になります。接続はパソコンのUSB端子に挿すだけで済むプラグ&プレイ方式です。発売日は2022年9月2日で、フジヤカメラと価格.comがこの日付を載せており、サウンドハウスも2022年9月発売と書いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 周波数特性 | 20〜20,000Hz |
| サンプリング周波数 | 44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz |
| ビット深度 | 16bit、24bit |
| 最大解像度 | 24bit/96kHz |
| 指向特性 | カーディオイド(単一指向性) |
普通のコンデンサーマイクを動かすには、XLRケーブルを通じてオーディオインターフェースやミキサーが供給する48Vのファンタム電源が要ります。AT2020USB-XはUSBから電気を受け取るので、そうした機器を用意しなくても使えます。
A/Dコンバーターを本体に内蔵
マイクの音をパソコンで扱えるデータにするのが、A/Dコンバーターです。Aがアナログ、Dがデジタルの頭文字で、アナログ信号をデジタル信号に変える電子回路を指します。入ってきた電圧を一定の間隔で読み取り(サンプリング)、分解能に合わせた数値に置き換えます(量子化)。量子化では元の信号の情報が少し失われる誤差が出ますが、分解能を上げるほど小さく抑えられます。AT2020USB-Xは、解像度の高いA/Dコンバーターを本体に持っています。
サンプリング周波数とビット深度の数字の意味
サンプリング周波数は、1秒間に何回音を測るかを表します。CDの44.1kHzは毎秒44,100回の測定にあたり、96kHzでは毎秒96,000回になります。音を正しく再現するには、信号に含まれる最も高い周波数の2倍以上でサンプリングしなければならず、この決まりをナイキストの原理と呼びます。CDの44.1kHzもこの原理から決まった値です。
ビット深度は、音の大きさを何段階に刻んで表すかの値です。CDは16bitで、24bitにすると分解能は16bitの256倍になります。96kHz/24bitのデータ量は、44.1kHz/16bitのCDの約3倍です。
数字を上げれば必ず音がよくなる、という話ではありません。録音で高い解像度を使うのは、編集で手を加える余裕を残すためという場合が多く、最後に聞こえる音の質は機材や部屋の条件でも変わります。
AT2020USB+から変わったのはUSB-C対応など4点

前のモデルとの違いは、端子、解像度、ミュート、スタンドの4つです。端子はUSB-Cになりました。録音の解像度は、AT2020USB+の48kHz/16bitから24bit/96kHzへ上がっています。本体にはタッチセンサー式のミュートボタンがつき、ミュート中はLEDが赤く光り、通常時のLEDは電源が入っていることを知らせます。付属のデスクスタンドも作り直され、しっかり固定できるようになりました。サウンドハウスは、スタンドの安定性がAT2020USB+から大きく上がったと評価しています。
肝心の音の違いはどうかというと、海外のレビューには、2台で録った音がほとんど同じに聞こえたという報告があります。スペック表の数字は上がっても、音の傾向が大きく変わったわけではない、というのがこのレビューの見立てです。テレワークや配信の用途なら48kHz/16bitで足り、音楽を作る場合は48kHz/24bitがよく使われる、とするレビューもありました。違いをどれだけ感じるかは、何に使うかで変わります。
本体の操作はタッチ式ミュートと2つのダイヤル
本体だけでミュートと聞こえ方の調整ができるのが、AT2020USB-Xの操作面の特徴です。ミュートボタンは触れるだけで反応するタッチ式で、押したときの音もしません。
ヘッドホン端子も本体に備えていて、音量はボリュームダイヤルで変えます。マイクに入った声は、遅れなくそのまま本体から聞けます。もうひとつのミックスコントロールを回すと、マイクの声とパソコン側の音を混ぜてモニターできます。
ダイレクトモニタリングで遅延を避ける
この遅れのない聞き方は、ダイレクトモニタリングと呼ばれる方法です。入力から再生までにかかる遅れをレイテンシーといい、ダイレクトモニタリングでは入力された音をパソコンに通さず、まっすぐヘッドホンへ送ることでこの遅れをなくします。人の耳は条件によって1ミリ秒以下のずれにも気づくとされ、歌や楽器を録るときはとくに遅れが気になります。直接聞こえる音と、パソコンを通って遅れた音が重なると、エコーのように聞こえることもあります。
付属品はスタンドとUSB-Cケーブル、AT8455とAT8175は別売り
箱に入っているのは、ネジ変換アダプター(3/8インチ-16を5/8インチ-27に変えるもの)と卓上スタンド、長さ2.0mのUSB-C to USB-Aケーブル、そしてUSB-AをUSB-Cに変える変換アダプターです。PHILE WEBの編集部員も、パソコンなどのType-C端子に挿せば設置が済む手軽さを挙げていました。
ショックマウントAT8455は振動対策の追加候補
振動ノイズへの対策として名前が挙がる別売り品がAT8455です。AT2020USB-X専用のショックマウントです。ブームやマイクスタンド、マウントを通ってくる振動の雑音を弱める目的で作られています。ねじは3/8インチ(16山)と5/8インチ(27山)の両方に合います。前面が開いた形なので、取り付けたままでも本体のボリュームやスイッチに手が届きます。ブームアームと組み合わせる場合は、アーム側のねじが3/8インチなのか5/8インチなのかを先に確かめておくと迷いません。
ポップノイズにはポップフィルターAT8175
ポップノイズは、息がマイクに強く当たったときに入る雑音です。パピプペポのような破裂する音で目立ちます。これを抑えるのがポップガードで、空気の流れを散らしてマイクに届く勢いを弱めます。息の湿気や唾からマイクを守る役目もあります。コンデンサーマイクは湿気に弱いので、こちらの役割も大事です。唾がつくと音質が落ちたり、故障につながったりします。口とマイクの距離を一定に保つ助けにもなり、クランプ式やU型、布製といった形があります。
オーディオテクニカにはAT20シリーズ専用のポップフィルターAT8175があり、対応機種にAT2020USB-Xが入っています。
AT2020USB-Xの価格は税込19,800円から21,780円
販売店ごとに表示価格が違います。フジヤカメラは税込19,800円、イーイヤホンは定価として税込21,780円を表示していました。価格.comでは15店舗が出品していて、安い店で15,600円、高い店で21,780円という幅でした。セールでは大きく下がることもあり、PHILE WEBは2025年11月のAmazonブラックフライデーで13,900円(税込)で売られたと伝えています。買う前には、販売店の最新の価格を確かめておくと安心です。
ノイズの多い部屋で使うならAT2020USB-XPも比較対象
雑音を拾いやすいという口コミが気になる人には、上位モデルのAT2020USB-XPがあります。AT2020USB-Xをプロ向けに仕立てたモデルで、2023年6月13日に発表、6月16日に発売されました。価格はオープンで、直販価格は23,980円でした。
AT2020USB-Xとの大きな違いは、内蔵DSPを使ったオートゲインコントロールとノイズリダクションを持っていることです。ノイズリダクションは3段階あり、本体のセレクタースイッチで切り替え、状態はLEDで確認できます。対応するサンプリングレートの上限は24bit/192kHzまで上がりました。単一指向性(カーディオイド)である点はAT2020USB-Xと変わらず、USB Type-Cでつなぎ、オーディオインターフェースなしで使える点も共通しています。雑音の多い部屋が主な使用場所なら、AT2020USB-Xと並べて比べる価値のあるモデルです。
まとめ
AT2020USB-Xの口コミは、音質と作りを評価する声が大半で、価格.comの満足度は4.48、TechRadarやSoundGuysも好意的でした。弱点は感度の高さで、エアコンの音や机の振動を拾うという指摘が国内外で重なっています。口に近づけて話すこと、振動対策にAT8455を足すこと、机置きにこだわらずブームアームを使うことが、レビューで挙がった対処法です。静かな部屋でひとりの声を録るなら入門機として満足しやすく、雑音の多い部屋が前提ならノイズリダクションを持つAT2020USB-XPと比べてから決めるのが確実です。
感度の高さが気になる人は、同じオーディオテクニカのUSBマイクで、雑音を拾いにくい点が評価されているAT2040USBの口コミも比べてみてください。








